「AIと、はじめてのゲームづくり」全4回シリーズ|第3回
「ゲームエンジン」という言葉を、聞いたことはありますか? Unityという名前だけ知っている人も、Unreal Engineは見たことがあるけれど読めないという人も、全部初めての人もいると思います。
大丈夫です。今回は「何の道具なのか」から始めます。Godotは「ゴドー」、Unityは「ユニティ」、Unreal Engineは「アンリアル・エンジン」と読みます。三つとも、ゲームを作る作業を助けるソフトの名前です。ソフトは、パソコンなどで使う道具のこと。ここでは、ゲームを組み立てる道具を紹介します。
この段階では、名前を暗記しなくて構いません。便利な道具を使っても、自分で決めることは何か。AIには何を手伝ってもらえるか。 そこが分かってから選び方へ進みましょう。


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ゴドーって、何の道具?
ざすこ:このキャラが動くゲームを作りたい! 調べたらGodotって出たけど、何て読むの?
ジェネコ:ゴドー、と読むジェネ。ゲームエンジンという、ゲームを作る道具ジェネ。
ざすこ:ゲームエンジン? それを使えば、コイン集めゲームが完成するの?
ジェネコ:よく使う仕組みが入った道具箱ジェネ。遊びのルールは、これから決めるジェネ。
ざすこ:じゃあ「コインを取ったら1点」は、私が決めて組み込むんだ?
ジェネコ:そうジェネ! 接触を調べる道具を使って、そのルールをつなぐジェネ。
道具箱、どれを選ぶ?
ざすこ:まず四角で動きを試して、あとから私のキャラの絵に替えられる?
ジェネコ:できるジェネ。動く仕組みと見た目を分けると、確かめやすいジェネ。
ざすこ:でも、UnityとかUnreal Engineも出てきた。同じ道具箱の仲間なの?
ジェネコ:どれもゲームエンジンジェネ。使う素材や作業の進め方に違いがあるジェネ。
ざすこ:名前だけで選ぶより、私が作りたい遊びと、AIとの作業で選びたい!
ジェネコ:本文で、読み方と役割から比べるジェネ。何を任せるかも一緒に見るジェネ!
ゲームエンジンって、そもそも何をするもの?

ゲームエンジンは、ゲームによく使う仕組みと、作るための道具をまとめたソフトです。車のエンジンのような実物の機械ではありません。ここでは、パソコンの中で使う「ゲームづくりの道具箱」と考えてみましょう。
例えば、自分のキャラが左右へ動き、コインを集めるゲームを作るとします。必要になるのは、キャラの絵を画面へ出す、キー操作を受け取る、コインとの接触を調べる、音を鳴らす、といった仕組みです。
これを全部、一番下の仕組みから自作することもできます。でも、毎回そこから作るのは大仕事です。ゲームエンジンは、いろいろなゲームに共通する仕事の土台を用意してくれます。
工作にたとえるなら、ハサミ、定規、接着剤、作業台が最初からそろっている感じです。道具があれば始めやすくなりますが、「何を作るか」「どの形にするか」までは道具が自動で決めません。ゲームでも同じです。
エンジンがしてくれること、自分たちで決めること
| したいこと | エンジンが用意する助け | 自分やAIが決めて組み立てること |
|---|---|---|
| キャラを見せる | 絵や立体を画面へ出す仕組み | どのキャラを、どこに、どの大きさで出すか |
| キーで動かす | キー操作を受け取る仕組み | どのキーで、どちらへ、どれくらい動くか |
| コインを取る | 物同士が触れたか調べる仕組み | どれをコインとし、取ると何点増えるか |
| 壁で止まる | 物の形や接触を扱う仕組み | どこを壁にし、通れない範囲をどう付けるか |
| 音を鳴らす | 音声ファイルを再生する仕組み | どの音を、いつ、どの大きさで鳴らすか |
「衝突判定(しょうとつはんてい)」という言葉が出たら、物同士がぶつかったか、触れたかを調べることです。ぶつかっていそうな絵を見せるだけではなく、調べる形や範囲を用意します。コインを取り損ねるなら、この範囲が絵と合っているかを確認する、といった使い方です。
ざすこコインに触れたか調べる道具はある。でも「触れたら1点」は、私たちでつなぐんだ?



そうジェネ。共通の仕組みを使って、作品ごとの決まりを組み立てるジェネ。それがエンジンでゲームを作る作業ジェネ。
エンジンを使っても、絵や音は別に用意できます。画像生成で描いた絵、手描きの絵、利用条件を確かめた既製の素材などを使い、ゲームの中へ取り込みます。取り込むは、外のファイルを制作ソフトで使えるように読み込むことです。
Godotって何? 「ゴドー」と読むゲーム制作ソフトです


Godot(ゴドー)は、ゲームエンジンの一つです。文字を入力する画面だけでなく、キャラを置いたり設定を見たりする編集画面を備えています。平面の絵を中心にした2Dゲームも、立体の空間を扱う3Dゲームも作れます。Godot公式の紹介
例えば画面へキャラを置き、その隣へコインを置く。キャラの大きさや初期位置を調整し、動きの指示を組み込む。再生のような実行ボタンで遊んで確かめる。こうした作業を、一つの制作ソフトの中で進めます。
「Godotを使う」は、遊ぶ人が契約するゲームサービスを選ぶ話ではありません。まずは作者が使う道具を選ぶ話です。完成後にブラウザ用やPC用へ整えることは、第2回で見た別の仕事です。
誰が作っていて、なぜ無料で使えるの?
Godotは、Juan LinietskyとAriel Manzurによって始められ、現在は多くの参加者が開発に関わっています。財団による支援や寄付・スポンサーなどで活動を支えています。Godot公式
オープンソースは、ソフトを作っているプログラムの中身が公開され、定められた条件で利用や改良ができる形です。「中身を誰も作っていないから無料」という意味ではありません。参加者が手を入れ、支援を受けながら育てる方式です。
Godot本体はMIT(エムアイティー)という利用条件のもと提供され、無料で利用でき、商用の作品にも使えます。ただし、自分が入れる絵、音、文字の形を決めるフォントなどには、それぞれ別の条件があります。「エンジンが無料」と「すべての素材を自由に売れる」は分けて確認します。Godot公式FAQ
パソコンで使い始めるときは、何をするの?
入口はGodot公式のダウンロードページです。自分のWindowsやMacなどに合うものを選び、説明に従って受け取ります。Windowsの通常配布では、圧縮されたファイルを展開して、実行ファイルから始められます。
圧縮は、複数のファイルをまとめたり、受け渡しやすい大きさにしたりすること。展開(てんかい)は、それを使える状態へ戻すことです。Windowsで「すべて展開」などの操作を見たら、この仕事をしています。
初めてなら、AIへ「自分はWindowsを使っている。公式ページのどれを選び、どこへ保存すればよいか、一つずつ説明して」と相談できます。制作を始める前に、使うGodotの版を記録しておくと、AIや教材と画面が違うときに確認しやすくなります。版(バージョン)は、ソフトの更新を区別する番号です。
「スクリプト」「ノード」と言われたら、何のこと?


Godotの説明を読み始めると、すぐ新しい名前が出てきます。ここで意味を一度だけ押さえましょう。操作方法までいま暗記する必要はありません。
スクリプトは、ゲームの動きなどを指示する文章


スクリプトは、ゲームの動きや条件を記すためのプログラムです。「右キーが押されたら右へ進む」「コインに触れたら点数を増やす」といった指示を書きます。ここでは、小さな仕事を任せる指示書のようなものと考えてください。
その内容を、決まった書き方で記した文章がコードです。いきなり英語のような文字が並んでも、まず「これはキャラの動きを指示している部分」と役割をつかめれば大丈夫です。
Godotでよく使う書き方の一つはGDScript(ジーディースクリプト)といいます。これはGodot向けに用意されたプログラムの言語です。プログラムの言語は、コンピューターへの指示を書くために決められた書き方。人の言葉にも日本語や英語があるように、指示を書く方法にも種類がある、というたとえで考えられます。今回、その文法を暗記する必要はありません。
AIには「GDScriptでキャラの動きを書いて。私には何をする指示か日本語で説明して」と頼めます。ただし、実際の作品で正しく動くかは起動して確認します。Godot公式:スクリプトの案内
ノードは、役割を持つ小さな部品


ノードは、Godotの中で役割を持つ部品です。絵を出す部品、音を鳴らす部品、ボタンの部品などがあります。「ノードを追加して」と言われたら、「その仕事を担当する部品を足して」と読み替えてください。
例えば、コインの見た目を出す部品と、キャラが触れたか調べる部品を組み合わせます。絵だけで反応まで完成しない、という話がここでもつながります。
いくつかの部品をまとめ、繰り返し使える形にしたものをシーンと呼びます。Godotでは「映画の一場面」だけを指すわけではなく、キャラ一体やコイン一個を、まとまりとして作ることもあります。細部は実作業で一つずつ覚えれば構いません。Godot公式:基本の考え方
UnityやUnreal Engineも、同じ仲間なの?


Unity(ユニティ)も、ゲームを作るためのエンジンです。キャラを置く画面や、遊びの動きを組み込む仕組みを使います。2D・3Dの作品制作に使え、教材や追加の素材を組み合わせて進める選択肢があります。Unity公式
Unreal Engine(アンリアル・エンジン)も、同じ仲間です。長いのでUE(ユーイー)と短く書かれることがあります。3Dの世界を作る道具があり、処理を図のように組む方法も用意されています。Unreal Engine公式
ここでは「三つとも、ゲームを組み立てる作業場。中の道具や進め方が違う」と覚えれば十分です。Godotだけが個人向け、UnityやUEは会社しか使えない、と分かれているわけではありません。
「AIに作ってもらう」作業は、どう違う?


同じ「キャラが左右へ動いてコインを取る」を作るなら、三つとも、素材を配置し、動きと得点をつなぎ、起動して遊ぶ流れがあります。
Godotなら、AIが動きの指示だけでなく、配置や設定の一部もファイルとして直せるため、文字のファイルを読み書きするAIと組み合わせやすいと考えられます。これは作業の仕組みからの判断で、AIの成功率を測った結果ではありません。
Unityでも、AIに動きの指示を書いてもらえます。Unityでよく使うC#(シーシャープ)は、その指示を書くためのプログラム言語です。いまは「Unityで指示を書く方法の名前」と捉えて構いません。使いたい教材や素材がUnity向けなら、それも選ぶ理由になります。
UEでは、コードに加えてBlueprint(ブループリント)という作り方があります。これは「ボタンが押された」「右へ進む」といった処理の箱を、線でつないで組む方式です。箱の名前やつながり方にも意味があるので、文字を書かなくてよいことと、何も理解せず完成することは違います。Epic公式:Blueprintの紹介
どれでも、自分は「こんな遊びにしたい」を伝え、実際に遊んで判断します。AIが制作画面を操作できるか、ファイルだけ直せるかは、接続する道具や許可で変わります。名前だけで「AIと最も相性が良い」と決めつけず、小さく作って確かめるのが現実的です。
画面のきれいさは、エンジン名だけで決まらない


例えば、明るい庭で一人がコインを取るゲームと、雨の街に大勢の人物と反射を出すゲーム。後者は、たくさんの形や光を同時に計算するため、制作にも動かすPCにも負担が増えます。
反射(はんしゃ)は、鏡や濡れた地面などに周りが映る表現です。「本物の鏡のように何でも映したい」のか、「雰囲気が伝わればよい」のかでも必要な仕組みが変わります。Godotでも3Dは作れますが、使いたい見た目を実現できるかは、表現の条件と対象PCで確認します。
Godot公式の描画方式比較には、Forward+(フォワード・プラス)やCompatibility(コンパティビリティ)などの名前が出ます。これは画面を計算して作る方法の名前です。UnityのHDRP(エイチディーアールピー)も画面づくりの仕組みの名前で、エンジンそのものの名前ではありません。最初は暗記せず、「後から見た目と動作環境に合わせて選ぶもの」と理解しましょう。
Blenderは、立体の材料を作る別の道具です


Blender(ブレンダー)という名前を聞いたことはありますか。これは、立体の形や表面、動きなどを作る制作ソフトです。いま紹介したゲームエンジンとは、主に担当する仕事が違います。Blender公式
ゲームエンジンが工作を組み立てる作業場だとしたら、Blenderは立体の材料を形づくる道具にたとえられます。例えば、鍵を作るなら、鍵の輪っかや先のギザギザを立体で作り、金属らしい色を付けます。この立体のデータを3Dモデル(スリーディーモデル)と呼びます。プラモデルの「形のデータ版」と考えると近いイメージです。
その鍵をゲームエンジンへ読み込み、部屋の机の上へ置きます。さらに「近づいたら拾うボタンを表示」「押したら持ち物へ入れる」「鍵を持っていたら扉が開く」を作ります。鍵の形を作る仕事と、その鍵で何ができるかを作る仕事が違うのです。
Blenderで見えた色や光が、取り込んだゲームで全部同じになるとは限りません。取り込んだ後、色や大きさ、動き方を確認します。Godot公式:立体素材の取り込み
最初のコインゲームを平面の絵で作るなら、Blenderを先に覚える必要はありません。ゲームエンジンの四角や仮の形で遊びを試し、立体の見た目が必要になったら足せます。画像生成や動画生成の経験は、キャラの見た目、背景、演出、宣伝に活かせますが、「動画で歩くキャラ」と「操作で好きな方向へ歩けるキャラ」は別の仕事です。
pygame・ライブラリ・SDKは、何の仲間?


ここからは、検索で名前に出会ったときのための補足です。初めの一本を作るために、全部使う必要はありません。 Godotが作業場だと分かれば、いったん次のまとめへ進んでも構いません。
ライブラリは、自分のプログラムから呼び出して使える部品のまとまりです。例えば「画像を出して」「音を鳴らして」という仕事を部品へ頼みます。作業場全体というより、組み込んで使う便利な部品のセット、というたとえです。
pygame(パイゲーム)は、ゲーム制作に使えるライブラリです。主に2Dの画像や入力、音などを扱えます。Python(パイソン)というプログラム言語で部品を呼び出し、動きを組み立てます。Pythonは、コンピューターへの指示を書く方法の一つです。ヘビを入れる話ではなく、書き方の名前です。pygame公式
AIにpygameのプログラムを書いてもらう方法もあります。小さな2D作品を作る候補ですが、Godotのような配置の制作画面や作品全体の仕組みを使う場合に比べ、自分たちで組み立てる範囲が増えます。「AIが書けるなら全部同じ」ではなく、できたものを人が見て直しやすいかも違いになります。
SDK(エスディーケー)は、特定の開発を助ける道具セットです。説明書、部品となるライブラリ、確認用の道具などが入ります。例えばSteamworks(スチームワークス)のSDKは、Steamの機能と作品をつなぐ開発で使います。ゲーム全体を組み立てるエンジンとは役割が違います。Steamworks公式
エンジンの内部でライブラリを使うことも、SDKの中にライブラリが入ることもあります。この三つは、きれいに別々の箱だけでできているとは限りません。「どんな仕事を助ける道具なのか」で見てください。
「pygameはCLI、GodotはGUI」と書かれていて困ったら、その二つは操作方法の話です。CLI(シーエルアイ)は文字で命令する操作、GUI(ジーユーアイ)はボタンや画面を使う操作。ゲームを作る道具か部品か、という役割の違いとは別です。
まとめ|全部を覚えるより、一つの遊びを作れる道具を選ぼう


今回の要点は、ゲームエンジンは共通の仕組みをまとめた道具箱、Godot・Unity・Unreal Engineはその仲間、作る遊びの決まりは自分たちで組み立てるということです。
小さく試す候補としてGodotを考えて構いません。使いたい素材や教材がUnity向けならUnityも候補です。作りたい3D表現や、箱をつないで処理を組む方式に合うならUEを検討できます。無料かどうかだけでなく、自分のPCで作業でき、AIと変更・確認を繰り返せるかを見ます。
まずは「キャラが左右へ動き、コインを集めるゲームを作りたい」と一つの遊びを決め、AIへ使える道具を相談してみましょう。次回は、その相談をどう小さな依頼にして、完成と公開へつなげるかを、作業の順番で見ていきます。
このシリーズについて
説明のたとえは、ソフト内部の厳密な構造図ではありません。会話劇や作業例は理解のための例で、今回の実装結果ではありません。Godotの基本仕様等は2026年10月13日に公式資料で再確認しました。利用条件と対象環境は、導入時に各公式で確認してください。











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