「AIと、はじめてのゲームづくり」全4回シリーズ|第4回
「ゲームを作る道具があることは分かった。でも、AIに何と頼めばいいの?」「途中で動かなくなったら、もうお手上げ?」
今回は、自分で実際に遊びながら、少しずつゲームへ育てる手順です。お願いを小さくする→動かす→自分で遊ぶ→気になるところを伝える。 この往復を、一つのゲームで見ていきます。
最後には「遊べた」と「ほかの人へ配れる・売れる」の違いも確かめます。完成までに何があるかを、専門家の言葉だけで飛ばさず、順番にたどりましょう。
AI(エーアイ)は、ここでは相談や制作作業を手伝う相棒です。PC(ピーシー)はパソコンのこと。漫画では、最初のお願いから「動いたけれど速すぎる」にぶつかり、直すまでを見ます。


マンガの会話をテキストで読む
AIへ、何を頼めばいい?
ざすこ:AIとコイン集めゲームを作りたい! 最初から、絵も得点も全部頼めばいい?
ジェネコ:まず「四角が左右に動く」だけ頼むジェネ。少しずつ遊んで確かめるジェネ。
ざすこ:四角は動いた! でも速すぎて、コインを取る前に画面の外へ行っちゃう!
ジェネコ:困った場所が分かったジェネ。その二つを、AIへ具体的に伝えるジェネ。
ざすこ:「速さを半分にして、画面の外へ出ないようにして」なら伝わる?
ジェネコ:直す目標がはっきりしたジェネ! ワガハイが修正を手伝うジェネ。
直して、遊んで、届けたい!
ざすこ:今度は動かしやすい! 端で止まるし、この速さならコインを狙えそう!
ジェネコ:遊び心地を決めたのは、ざすこジェネ。AIが直した後も、実際に試すジェネ。
ざすこ:この調子でコインや得点、絵を足していけば、私のゲームに近づくんだね!
ジェネコ:そうジェネ。完成したら、友達のPCで遊べるか、素材の使い方も確かめるジェネ。
ざすこ:作って終わりじゃないんだ。いつか売るために、何を確かめればいい?
ジェネコ:本文で完成までの順番と、公開・販売前のチェックを、一緒に見ていくジェネ!
まずは「どんな遊びか」を、一文で決めよう

企画(きかく)というと大きな書類を思い浮かべるかもしれませんが、最初は「何をして遊ぶか」の短いメモで構いません。例えば、こうです。
画面のキャラを左右に動かし、落ちてくるノイズを避け、30秒残れたらクリアするゲームを作りたい。
何を操作し、何が起こり、いつ終わるのかが見えます。「かわいいゲーム」「すごいゲーム」だけでは、AIにも作る範囲が伝わりません。
漫画と本文では、同じコイン集めゲームを追います。最初はジャンプも敵も足さず、コインは歩いて届く高さに置きます。何を確かめればよいかを絞るためです。
2D(ツーディー)は、平面の絵を中心に扱う作り方です。一画面のコイン集めなら、視点を自由に動かす3Dの世界より、最初に確認する要素を絞りやすくなります。簡単だから必ず成功するという意味ではなく、何が起きたか見つけやすくする選び方です。
落ちてくるものを避けるゲーム、クリックした的を当てるゲーム、少ない枚数の神経衰弱、短い会話を選ぶノベルも候補です。ノベルは、文章や絵を読み、選択肢を選ぶなどして進める作品です。まず「始める→遊ぶ→結果を見る→やり直す」がそろう、小さな一本を目標にします。Godot公式の最初の2D教材も、敵を避けるゲームを扱っています。教材が難しければ、AIへ知らない言葉を一つずつ説明してもらいましょう。
2D制作をすでに経験したざすこの次の挑戦なら、小さな3Dゲームも自然です。例えば「床を歩き、机の鍵を拾い、出口を開ける」なら、遊びが見えます。「一部屋を作る」だけでなく、そこで何をするかまで言葉にします。
AIに頼む前に、作業場所と道具を確かめる

AIエージェントは、相談に答え、許可された道具でファイルの作成や修正を手伝うAIです。Codex(コーデックス)やClaude Code(クロード・コード)などがあります。自分のパソコンで何を操作できるかは、使う道具や設定で違います。
プロジェクトは制作中の作品一式、フォルダはそれを置く入れ物、ファイルは絵や音や指示を保存した一つ一つのものです。まず「この作品の作業場所はここ」と決めます。自分の写真や別作品のファイルが混ざらない場所が分かりやすくなります。
最初の相談は、例えばこんな言い方です。
ゲーム制作は初めてです。Godot(ゴドー)で、左右へ動いてコインを集める小さな2Dゲームを作りたいです。まず私のPCで使えるか、Godotの準備と、作品の保存場所を確認してください。知らない言葉は、読み方と意味を添えてください。私が行う操作は一つずつ説明してください。
AIがPCの情報を確認できない場合は、人が調べる手順を案内してもらいます。「確認した」と返ってきたら、何を見たのかも聞きましょう。見えていない画面まで確認済みだと思い込まないことが大切です。
最初は「四角を左右に動かす」だけ頼む

見た目も音も敵も一度に加えると、うまくいかなかったときに、どこが原因か分かりにくくなります。最初はキャラの代わりに四角を一つ置きます。まだ完成品を作らせるお願いではありません。
まず仮の四角が、左右の矢印キーで動くところまで作ってください。画面の外へ出ないようにしてください。まだ敵や得点は足さないでください。変更したファイルと、何を確認できたか、私がどう起動して試すかを説明してください。
仮(かり)の素材は、仕組みを試すための、とりあえずの見た目です。四角がきちんと動いてから、自分のキャラの絵に替えられます。先にかわいい絵を全部そろえないと始められない、ということではありません。
ここでAIと自分の分担は、例えば次のようになります。ソフトをAIがどこまで操作できるかにより、人がクリックする部分は変わります。
| 順番 | AIが手伝うこと | 自分がする・確かめること |
|---|---|---|
| 1 | 作品の制作ファイルや、四角を動かす指示を用意する | 指定した作業場所になっているかを見る |
| 2 | できる範囲で実行し、止まる問題を調べる | 案内された方法でゲームを起動する |
| 3 | 操作方法を説明する | 左右を押し、動くか、端で止まるか試す |
| 4 | 気づいた問題をもとに修正する | 再び遊び、狙った動きになったか判断する |
起動(きどう)は、アプリやゲームを動かし始めることです。制作画面の実行ボタンから試す場合もあります。「どのボタンを押すか分からない」ときは、そのままAIへ聞いてください。
「なんか変」を、直せるお願いへ変えるには?
「思ったのと違う」だけでは、直す場所が多すぎます。自分がした操作、起きたこと、こうしてほしいことを分けて伝えると、手がかりになります。
- した操作:「右キーを押し続けた」
- 起きたこと:「四角が速すぎて狙えず、画面の外へ消えた」
- 望むこと:「速さを今の半分にし、右端で止まってほしい」
「移動速度を調整して」と言うのが難しくても、この説明なら、何を直したいか伝わります。移動速度(いどうそくど)は、動く速さのことです。名前を覚えないまま相談しても構いません。
ざすこAIが「エラーはない」って言っても、私には速すぎることはあるんだ?



あるジェネ。動くことと、遊びやすいことは別ジェネ。ざすこが触って感じたことが、次の調整の手がかりジェネ。
エラーは、処理が止まるなどの問題です。バグは、作ったものが狙いどおりに働かない不具合です。起動はできても、壁を抜ける、点数が二重に増えるといった問題が残る場合があります。
エラーの文字が出たら、見えた文をそのまま伝えます。画面の写真やスクリーンショットが役立つこともあります。スクリーンショットは、画面を一枚の画像として保存したものです。AIが確認できたことと、人が遊んで感じたことを合わせて直します。
動いたところへ、一つずつ遊びを足す


四角が左右に動き、画面の端で止まったら、次の一歩です。最初に決めたコインゲームなら、こんな順に進められます。
- 四角が歩いて届く場所に、コインを一つ置く。
- 触れるとコインが消え、1点増えるようにする。
- コインを10枚へ増やし、全部集めたらクリアにする。
- 結果を表示し、コインが元に戻ってもう一度遊べるボタンを付ける。
- 四角をキャラの絵へ替え、音を足す。
- 初めての人でも操作と目標が分かる説明を整える。
当たり判定(あたりはんてい)は、物が触れたかを調べる仕組みです。絵は重なっているのにコインを取れないなら、この範囲や処理を確かめます。クリアは、決めた成功条件を達成した状態です。遊びの終わりを作ると、完成したかを判断しやすくなります。
途中で「育成も、オンライン対戦も、ランキングも」と足したくなるかもしれません。面白い案はメモへ残し、最初の完成条件へ全部混ぜないようにします。ランキングは成績を順位で見せる機能、オンライン対戦は通信してほかの人と対戦する機能です。どちらも新しい作業が増えます。
動いた版を残しておくと、戻せる
AIが直した後に、前まで動いたところが動かなくなることもあります。変更前の作品一式をコピーし、「左右に動いた版」などと記録しておくと、どこへ戻ればよいかが分かります。
バックアップは、壊したり消したりしたときに戻せるよう残すコピーです。絵や音も含めて保存されているか確認します。Git(ギット)という変更履歴を残す道具もありますが、最初はその名前だけを覚える必要はありません。「変更前へ戻せる記録を、画像も含めて残して」とAIへ相談できます。
Gitを使うことと、GitHub(ギットハブ)というサイトへ一般公開することは別です。大切なのは、何を残し、どう戻せるかを確認することです。
自分で調整できる小さな道具も、AIに頼める
毎回AIへ「もう少し下」「あと少し右」と伝えるより、自分で動かせる画面がある方が早い場面もあります。例えば、キャラの大きさをつまみで変え、その場で見比べる道具です。
こうした制作を助ける道具を開発ツールと呼びます。開発(かいはつ)は、ここではゲームやアプリを作ることです。遊ぶ人のための画面だけでなく、作者が直すための道具も作れます。
ざすこは『ノイズの大迷宮』で、モンスターの大きさや位置、影、動きの速さなどを調整するツールをAIへ依頼しました。制作記事と紹介投稿でその様子を見られます。「9分」は当時報告したツール制作についての時間で、ゲーム全体の完成時間ではありません。
AIへ完成品を丸ごと頼むだけでなく、「自分でこだわって調整できる画面を作って」と頼む。これも制作の助けになります。このシリーズの画像にも、鼻などの小さな部分を手直しするために作った画像レタッチツールを使っています。レタッチは、画像の細かな修正のことです。
「自分のPCで遊べた」の次に、何を確かめる?


自分の制作画面で動いたら、配布する形に整えます。この作業を書き出し、またはエクスポートと呼びます。制作途中の材料を全部渡すのではなく、相手が遊べる形へ出す作業です。絵を制作ソフトからPNG画像へ保存することに少し似ていますが、ゲームでは動く仕組みや複数のファイルが必要になる場合があります。
ブラウザ版なら、ページをひらいて遊べる状態へ。PC版なら、相手のWindowsやMacなどで起動できる形へ整えます。どちらも、制作中の画面で動いたことだけでは確認が終わりません。
実際に相手へ渡す形で、次のことを確かめます。
- 最初の画面から、遊び始められるか。
- 操作の説明がなくても、何を押せばよいか伝わるか。
- 成功と失敗が分かり、やり直せるか。
- セーブが必要な作品なら、終了後に続きを再開できるか。
- 対象にしたPCやブラウザでも動くか。
セーブデータは、進行状況などを残した情報です。「セーブあり」と書くなら、保存ボタンがあるだけでなく、保存した内容を読み戻せるかまで試します。
Steam・BOOTH・DLsiteで売る前には、何を確認する?


Steam(スチーム)、BOOTH(ブース)、DLsite(ディーエルサイト)は、ゲームなどを届ける販売先の候補です。作品を作るゲームエンジンとは別です。お菓子を作る台所と、売るお店が違う関係を思い出してください。
販売先への登録、審査、手数料、販売できる作品、発売までの準備はそれぞれ違います。「ゲームが動いた日に、そのまま全部の店ですぐ売れる」と決めず、販売先の案内を確認します。
もう一つは、作品に入れた材料の条件です。ライセンスは、素材やソフトをどんな条件で使ってよいかを定めたものです。例えば「ゲームに組み込んで売ってよいか」「作者名の表示が必要か」を見ます。ダウンロードできたことだけでは、自由な再配布が許されたとは限りません。
絵、音、立体、フォントにも条件があります。フォントは、文字をどんな形で表示するかを決めるデータです。画面や商品画像の文字に使います。エンジンが商用利用できても、使う素材の条件は別に確かめます。
AI素材も、利用したサービス、生成日、参照に使ったものを残しておくと確認しやすくなります。販売先でAIの利用について説明を求められる場合は、現在の設問や区分を確かめて答えます。クレジットは、ここでは制作に関わった人や使用素材の作者などを示す表記です。AIサービスの利用回数を数える「クレジット」とは別の意味で使われています。
- Steam:登録から発売までの公式案内
- Steam:作品内容と生成AIの申告に関する公式案内
- BOOTH:公式ヘルプ
- BOOTH:AI生成作品についての公式案内
- DLsite:販売するサークル向けの公式ヘルプ
ここでは、手数料やAI作品の区分を固定の数字や断定で案内していません。実際の出品時に、その作品の条件と販売先の最新案内を確認してください。
AIへ作業を任せた分、人は何にこだわれる?


「人間は最後にボタンを押すだけ」と考えると、作品で何を大切にしたいかが抜けてしまいます。ゲームが動いた後にも、キャラがかわいく見えるか、コインを取ると気持ちいいか、音がうるさくないかなど、選ぶことが残ります。
ディレクションは、作品の方針に合わせて仕事をそろえ、仕上がりを判断することです。例えば「気軽に楽しく遊べる」を目標にして、キャラの速さや音を調整します。AIが候補を作り、問題探しを手伝っても、何を良いとし、どこまで磨いて採用するかは作者が決めます。
プロデュースは、誰にどう届けるか、予算や日程、宣伝なども含めて取りまとめることです。商品説明や紹介動画の案をAIへ相談することもできますが、実際の作品にない機能を約束していないかは確かめます。



単純な修正を任せられるなら、「どう表現したいか」「これで本当にいいか」に時間を使いたいんだよね。



そのためにAIを使うジェネ。候補を増やすだけでなく、選び、直し、こだわる時間へつなげるジェネ。
『ノイズの大迷宮』でも、生成した装備モーションを一つずつ見て選ぶ作業をしています。モーションは、待機、歩く、攻撃するといったキャラの動きです。大量に生成できても、その作品に合う動きかを確かめて採用します。選別を紹介した投稿、動きの紹介動画
こうした選別と調整が、作品の品質を上げる努力になります。AIは検査の支援もできますが、「この楽しさを届けたい」という狙いや、最終的な採用の判断まで、作者が考えなくてよくなるわけではありません。自分で抱えていた単純作業をAIに手伝ってもらい、表現やメッセージに時間を使えることが、大きな利点です。
まとめ|最初の一歩は、「全部」ではなく一つの動き


今日持ち帰りたいのは、小さく頼む、実際に遊ぶ、気になるところを具体的に伝える、動いた版を残すという進め方です。その先で見た目や音を足し、相手が遊べる形を確かめ、公開・販売の準備へ進みます。
最初の相談は、「左右に動く四角を一つ作りたい。知らない言葉は意味から、一つずつ教えて」で構いません。完成までの道のりを一度に理解しようとするより、自分が一つ試せるお願いから始めましょう。
AIと一緒に作ることで空いた時間を、「どんな体験を届けたいか」「この表現で伝わるか」へ使う。それが、自分の作品にするための大切な仕事です。


このシリーズについて
依頼文と試作は説明用の例で、この場で実装・検証したゲームではありません。紹介投稿の時間は当時の個別作業の報告です。販売先の規則や素材の条件は変わるため、実際の公開・出品時に公式で再確認してください。











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