「AIと、はじめてのゲームづくり」全4回シリーズ|第1回
「最近はAIを使えば、一人でもゲームを作れるらしい。でも、何をどう使うの?」
そんな話を聞いても、パソコンを前にすると手が止まりませんか。「ゲームエンジンって聞いたことはあるけれど、何をするもの?」「いつものAIチャットで作れるの?」「そもそも、ゲームはどうやってできるの?」。そこから一緒に始めましょう。
このシリーズでは、名前を知っていることも、パソコンへの動きの指示(プログラム)を書けることも前提にしません。新しい言葉が出たら、読み方、何に使うものか、身近なたとえ、ゲームでの具体例を添えて進みます。 全部を一度に覚える必要はありません。
ざすこAIがすごいらしいのは分かるけど、何を用意して、何を頼めばいいのかが分からないんだよね。



そこが最初の入口ジェネ。道具の名前を覚える前に、「どんな仕事を集めるとゲームになるか」から見ていくジェネ。
今回は「何を作る仕事があるか」「何を用意するか」「AIと自分は何をするか」が分かれば十分です。ゲームの動く仕組みは第2回、ゲーム制作ソフトは第3回、実際の進め方は第4回で順にほどきます。


こんなところで、最初の一歩が止まっていませんか?


- 絵は作れる。でも、それをどうすれば操作できるゲームになるの?
- AIは相談相手なの? 実際にパソコンの作業もしてくれるの?
- 高価なパソコンや、たくさんの有料ソフトが必要なの?
- 初心者は、何を一つ頼むところから始めればいいの?
- いつか公開したり売ったりしたい。そこまで一人で進められるの?
この疑問を、ざすことジェネコの会話でもたどります。漫画は実際に出た疑問をもとにした説明用の会話劇で、ゲームがその場で完成した実録ではありません。




まず「ゲームを作る」は、どんな仕事?
例えば、画面のキャラを左右へ動かし、コインを集める小さなゲームを考えてみます。取ると1点増えて、全部集めたら「クリア!」。難しいジャンル名を知らなくても、何をして遊ぶかは想像できるでしょうか。
そのゲームを作るには、少なくとも次のことを決めたり用意したりします。
- 何をすると楽しいか。コインを何枚集めたら終わるか。
- キャラやコイン、背景をどんな見た目にするか。
- キーを押すとキャラが動き、コインに触れると点数が増える仕組み。
- コインを取った音や、クリアしたときの音。
- 遊んでみて、動きや説明がおかしくないかを確かめること。
絵だけで遊べないのは、3番の仕事も必要だからです。「コインに触れたら1点」という決まりと、実際の操作をつなぎます。これをまとめて、ゲームという作品にしていきます。
ここでいうソフトは、パソコンで使う道具のことです。絵を描く道具や、ゲームを組み立てる道具などがあります。
ゲーム制作は、絵を一枚完成させることより、絵・音・遊びの決まりを協力させることに近い作業です。 お店づくりなら、メニュー、料理、接客、会計が必要になるのと似ています。料理だけを置いても、お店全体の仕組みにはならない、というたとえです。


ここで「2D(ツーディー)」という言葉も押さえます。平面の絵を中心に見せるゲームです。横から見たキャラが左右へ動く作品などを思い浮かべてください。「3D(スリーディー)」は、奥行きのある立体の空間や物を扱います。立体の周りへ視点を動かせるゲームなどです。画面自体はどちらも平らでも、中で扱う形が違います。
会社なら、誰が何を担当しているの?
ゲームの仕事は、会社や作品によって分け方が違います。ここではコイン集めゲームを例に、主な役割を見ます。一人がいくつかを兼ねる場合もあります。


| 仕事の名前 | このゲームで行うこと | 残るものの例 |
|---|---|---|
| プランナー/ゲームデザイナー | 「コイン10枚でクリア」などの遊びを考える | ルールを書いたメモ |
| プログラマー | キー操作で動く、触れたら得点が増える仕組みを作る | 動きを指示する文章や制作ファイル |
| グラフィックデザイナー/アーティスト | キャラ、コイン、背景の見た目を作る | 絵や立体のデータ |
| アニメーター | 歩く、喜ぶといった動きを作る | 動きのデータや連続した絵 |
| サウンドクリエイター | 取った音や音楽を作り、聞きやすく整える | 音のファイル |
| シナリオライター | 登場人物の会話や物語を考える | 台詞やあらすじ |
| UIデザイナー | 開始ボタン、点数、メニューを見やすくする | 画面の配置やボタンの見た目 |
| テスター/QA担当 | 正しく遊べるか、不便がないかを調べる | 不具合の記録や確認結果 |
UI(ユーアイ)は、遊ぶ人が情報を見たり操作したりするための部分です。「残りコイン3枚」の表示や、やり直しボタンが身近な例です。QA(キューエー)は品質を確かめ、良い状態で届けるための活動を指します。テストはその中で行う仕事の一つです。
「ゲームデザイナー」は、必ずしも絵を描く人ではありません。ここでは遊びの仕組みを設計する人を指しています。肩書きの名前より、「何を担当しているか」を見ると混乱しにくくなります。実際の職種例:バンダイナムコスタジオ
全体の方向をそろえるのがディレクター。「かわいく気軽に遊べるゲームにしたい」という方針に合わせ、速さ、絵、音をまとめて判断します。その仕事をディレクションと呼びます。
予算や日程、誰にどう届けるかまで取りまとめる役割がプロデューサー。宣伝も含めて作品を届ける計画を進めることを、ここではプロデュースと呼びます。
一人で作るなら、この仕事を全部覚えないといけない?
最初から全部の専門家になる必要はありません。個人制作では、自分がいくつかの役割を担い、すでにある素材や制作ソフト、必要に応じて協力者を利用します。AIも、その助けの一つです。
例えば、自分が遊びのルールを考え、絵を用意する。AIにはキャラを動かす仕組みを作ってもらい、自分で遊んで確認する。必要な音は別の音づくりの道具で用意する。このように仕事を分けられます。
ただし、「AIが一人分の仕事を丸ごと保証してくれる」という意味ではありません。画像を作るAIと、プログラムを直すAIは役割が違います。音を作るには音の道具が必要ですし、出来上がったものを採用するかも判断します。



作業を手伝ってもらえるなら、私は「こんな遊びにしたい」と考えて、できたものを確かめるところに力を使えるんだ?



そうジェネ。任せる仕事を具体的にし、できたものを見て判断する。その往復で、一人では手が足りなかった部分を補うジェネ。
パソコンの中には、何を用意するの?


PC(ピーシー)は、ここではパソコンのことです。まずは、今使っているWindowsやMacのパソコンで、小さなゲームを試せるかを確認します。WindowsやMacは、パソコンでアプリを動かすための基本の仕組みの種類です。どちらを使っているかは、ソフトを選ぶときに必要になります。
最初に必要になるものを、役割から見てみましょう。
- パソコンと操作する道具:制作画面を見て、マウスやキーボードで作業します。
- ゲーム制作ソフト:キャラを配置し、動きやルールを組み立てる作業場です。第3回で詳しく紹介します。
- 制作を手伝うAI:相談し、対応する作業を依頼する相棒です。
- インターネット:ソフトを入手したり、オンラインのAIに相談したりするときに使います。
- 保存する場所:自分の作品の絵や指示を、ひとまとめに残す場所です。
ファイルは、絵や音、文章などを保存した一つ一つのもの。フォルダは、ファイルをまとめて置く入れ物です。例えば「はじめてのゲーム」というフォルダを作り、中へキャラの絵と制作ファイルを入れます。
制作中の作品一式をプロジェクトと呼ぶことがあります。「新しいプロジェクトを作る」は、「新しい作品のための作業一式を用意する」と読み替えてください。仕事の大きな計画だけを意味する言葉ではありません。
高価なパソコンが必要かは、何を作るかで変わります。四角が左右へ動く小さな作品と、街に大勢の立体キャラを出す作品では、必要な仕事量が違います。買い替えを先に決めず、使う制作ソフトの必要条件と、小さな試作が動くかを確認しましょう。Godot公式の動作条件
最初のキャラは四角、音は仮のものでも構いません。ペンタブやマイク、画像・音の生成サービスは、作品に必要になったら足せます。オンラインのAIを使うために、大きなAIそのものを自分のPCへ入れることが必須になるわけでもありません。
AIエージェントって、いつもの相談AIと何が違うの?


AI(エーアイ)エージェントは、相談への返事だけでなく、使える道具を通じて作業も進めるAIです。エージェントには「代理で働くもの」という意味があります。ここでは、許可された作業場所で、ファイル作りや修正を手伝う相棒と考えてください。
普通の相談でも「キャラを動かすにはこう書きます」と教えてもらえます。その返事を自分で制作ファイルへ写す場合もあります。一方、作業できるAIなら、自分で該当ファイルを読み、直すところを探し、編集し、実行して調べることがあります。
実行とは、書かれた指示をパソコンに動かしてもらうこと。エラーは、指示や環境に問題があって処理を続けられないなどの状態です。AIが「実行してエラーを確認した」と言ったら、「動かして、止まる問題がないか調べた」と読み替えられます。
入口になる道具には、次のものがあります。
- Codex(コーデックス):OpenAIが提供する、プログラムを書く・直す仕事などを手伝うAIの道具です。
- Claude Code(クロード・コード):Anthropicが提供する、同じように開発作業を手伝うAIの道具です。
どちらもゲーム専用ではありません。使える画面や契約条件は変わるため、公式の入口で確認します。Codexの案内、Claude Codeの案内
「AIがファイルを直す」を、コインゲームで見ると?
例えば、動く試作品があって、「キャラが速すぎてコインを狙えない」と感じた場面です。
- 自分が「歩く速さを今の半分にして」と伝えます。
- AIが、許可された制作フォルダから移動に関係するファイルを探します。
- 速さを決める数値や指示を直します。
- AIが確認できる範囲で、起動や問題の有無を調べます。
- 自分が実際に遊び、「今度は狙いやすい」「まだ少し速い」と伝えます。
これは進め方の例で、今回このゲームを作った実験結果ではありません。大事なのは、自分が欲しい変化を伝え、AIが作業し、自分が遊んで判断するという往復です。
ファイルを編集できるAIでも、すべてのソフトの画面を自由に操作できるとは限りません。画面操作の機能やソフトとの接続があれば手伝える作業が増えます。接続できなければ、人がクリックする部分を、順番に案内してもらいます。
プログラムはコンピューターへの動きの指示です。その指示を、決まった書き方で記した文章をコードと呼びます。AIに「コードを書いて」と頼むのは、「パソコンが読める書き方で指示を用意して」と頼むことです。細かい書き方を知らなくても、この役割は押さえておきましょう。
AIみちくさの制作例で、完成した姿も見てみよう


ざすこは、ジェネコのぬいキャッチ【紹介記事はPR】、GenekoBoard(ジェネコボード)、みちくさギャラクシー、ノイズの大迷宮を公式ブログで紹介してきました。作品ごとの遊び方や試遊条件は、紹介記事でご確認ください。
コマを置く、落ちてくるものを組み合わせる、マップを探索する。遊び方は違っても、見た目、操作、ルールを組み合わせる点は共通します。作れるようになると、自分のキャラを見て楽しむだけでなく、遊ぶ人に操作してもらう作品へ広げられます。
ただし、一言で理想どおりに完成したという話ではありません。ざすこは見た目づくりに苦戦した制作投稿も紹介しています。作る、見比べる、直す。それも含めて制作です。
まとめ|今日覚えるのは、三つだけ
ゲームは複数の仕事でできる。AIはその作業を手伝える。自分は作りたい遊びを決めて確かめる。 まず、この三つを持ち帰ってください。
今日の一歩は、AIへこんな相談をすることです。
私はゲーム制作の初心者です。今のパソコンで、小さなゲームを作ってみたいです。必要な道具と作業場所を、知らない言葉の意味も添えて、一つずつ案内してください。まず、私が確認することを一つだけ教えてください。
返事の中に知らない言葉があれば、そこで止まって「それは何? 何に使うの?」と聞いて構いません。次回は「絵や音が、どうして操作できるゲームになるのか」と「ブラウザ版とPC版の違い」です。
このシリーズについて
会話と試作は説明用の例です。実際のゲームを今回完成させた記録や、AIの成功率の実験ではありません。製品の条件は公式案内で確認し、具体的な性能や料金を一律には保証していません。












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